ストレスチェックを活用するために知っておきたい事⑤ ~実施状況について~

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今回で第5回となった「ストレスチェックを活用するために知っておきたい事」シリーズ。

今回はストレスチェックの実施状況について書きます。

 

 

300虫眼鏡を持つお医者さんのイラスト.jpg

2015年から始まったストレスチェックの実施状況はいったいどんな感じなのか?

平成29年7月の厚生労働省労働衛生課の調査結果をみなさんとシェアしようと思います。

 

 

ストレスチェック制度の実施状況:事業規模別

事業規模 50人~99人 100人~299人 300人~999人 1000人以上 平均
ストレスチェック制度を実施した事業場の  割合 78.9% 86.0% 93.0% 99.5% 82.9%


事業場の規模が大きいほど実施の割合が高くなるという状況が見れるかと思います。

平均以上は100人~299人の事業所からというところがポイントではないでしょうか。

 

ストレスチェック制度の実施状況:業種別

業種  製造業   建設業  運輸交通業 貨物取扱業   商業  
ストレスチェックを実施した事業場の割合 86.0% 81.1% 80.9% 76.6% 79.9%

 

金融・広告業  通信業  教育・研究業 保険・衛生業 接客娯楽業 清掃・と畜産
93.2% 92.0% 86.2% 83.7% 68.2% 67.0%


 

金融・広告業:93.2% 通信業:92.0%と90%を超えている業種もあれば、

接客・娯楽業:68.2% 清掃・と畜産:67.0%の様に70%を切っている業種もあります。

実施状況の平均は82.9%ですが業種ごとに差がある事を理解しておいた方がいいかと思います。

 

 

ストレスチェックの受験状況

事業規模 50人~99人 100人~299人 300人~999人 1000人以上  平均 
ストレスチェックを受けた労働者の割合 77.0% 78.3% 79.1% 77.1% 78.0%

こちらは労働者が実際にストレスチェックを受検した割合です。

従業員50人以上の事業者にはストレスチェックを実施の義務がありますが

労働者には受検の義務はありません。

これは体調を崩すなどして休職などをされた方に対しての実施は負担になる、等の配慮があっての事です。

 

ストレスチェック実施者の選任状況(事業場の割合)

事業場規模 50人~99人 100人~299人 300人~999人 1000人以上 平均
事業場内の実施者 55.8% 58.3% 67.5% 81.3% 58.2%
外部委託先の実施者 44.2% 41.7% 32.5% 18.7% 41.8%


実施者とは医師・保健師、

一定の研修を受けた歯科医師、看護師、精神保健福祉士、公認心理士を指します。

事業場の規模に比例して外部委託の減少傾向があります。

 

高ストレスの判定が出た中で医師の面接指導を受けた労働者の状況

事業場規模 50人~99人 100人~299人 300人~999人 1000人以上  平均 
医師による面接指導を受けた労働者の割合 0.8% 0.7% 0.6% 0.5% 0.6%


今回のブログの大きなポイントです。

高ストレスの判定が出たけど医師の面談につながったケースってこんなに少ないんです。

個人情報の保護のもとに高ストレス者が誰か分からない状況です。

面接の申し込みをするかどうかは本人の意向によるため、という事がこのような結果につながっています。

詳しくは→→→こちらの記事←←←をご覧になってください。

 

医師による面接指導の実施状況

事業場規模 50人~99人 100人~299人 300人~999人 1000人以上   平均  
医師による面接指導を実施した事業場の割合 22.6% 36.9% 61.0% 85.0% 32.7%

こちらも事業場の規模で大きな差が出ています。

50人~99人の事業場:22.6%

1000人以上の事業場:85.0%

と比べて見ると約4倍弱の差があります。

平均は32.7%とありますが、平均を上回っているのは100人以上の事業場という事になります。

 

 

今回はいかがだったでしょうか?

・事業場の規模・業種によって状況が変わるので平均にとらわれない方がいい

・高ストレス判定者が医師の面接を受けた割合は1%以下

という事が大きな特徴だと私は感じました。

今回の記事が皆さんのお役にたてば幸いです。

 

次回はストレスチェックの質問票の詳細についての解説をやります。

お楽しみに!!

 

 

ストレスチェック関係の過去記事はこちら↓↓↓

(項目をクリックすると記事に飛びます)

~~ストレスチェックを活用するために知っておきたい事~~

①ストレスチェック制度の目的

②制度活用のための考え方

③実施体制や役割分担について

④関係法令について

ストレスチェックこぼれ話① ~受ける義務はない~

ストレスチェックこぼれ話② ~1%以下の現状~